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はじめに

 

◆ 本「手引き」の由来

 「対位法」は、音楽の勉強を始めた当初から、筆者にとって、どこか不思議なマジックあるいは魔法にも近い音楽の技術と思えるものでした。作曲が簡単に、短い時間に、少ない声部で、しかも完璧に完結させることができるというものであり、それまで(1970年代はじめ)まだ、あまり作曲技術の中で、重要なものとして扱われてこなかったのです。今日、音楽表現の多様化、つまり「現代的」音楽の中にも古典的、ロマン的手法が混在しうる現代にあって、今一度、この技術の可能性を確認し、それをより多くの若い作曲家や作曲を志す人達にネットを通じて、手軽に利用し、マスターできるこの技術をここに開示したいと考えました。

 しかしながら、他の音楽理論でも言えることでしょうが、「対位法」は特に、著者によって、論者によって、異なる規定や捉え方の違いがあり、そのどこを準拠にすべきか難しいところです。私が最も参照したのはイエッペセン(Knud Jeppesen)の著書で、ドイツ留学中に入手し、今も手元に置いているものです。また、それ以前、そして最近でも出版されている内外の同様の技術を扱う書物も参考にしています。中には疑問に持つ内容もあり、それに対し自分なりの判断もしています。

 特に、この「手引き」の目的は、古典的な技術の紹介ではなく、あるいは、その対象となる作曲家の手法だけによる理論書ではなく、今もなお価値を持ちうる「理論」の紹介の「手引き」です。その点イエッペセンの著書は、パレストリーナの作品の手法を紹介することに絞っているように思われ、そこでは採用されない理論や「拡大された」理論も扱っています。

 「パレストリーナ様式」と「バッハ様式」(後述)の違いは単に歴史的経緯、つまり時間的、時代的差異だけを根拠にはできないと考えます。その背後にあるポリフォニー音楽の考え方の違いもまた重要な部分であり、そうした中で、なんとかこれらの様式を繋ぐ「手引き」にもしたいと考えています。

 

 なお、この「手引き」は、同様にインターネットで公開する予定の「バッハ様式による対位法」とセットになっていますが、「パレストリーナ」を先行学習するのがいいでしょう。ただ、「バッハ」において記述してある<はじめに>の部分は、2つの「手引き」に共通した部分もあり、本手引きと重複する部分もありますが、ここに合わせて載せておきます。

©2019 by Shimazu

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